2020年12月25日
第三の女
ブログ
こんにちは、兵庫県伊丹市の西田鍼灸療院です。伊丹市内を中心に尼崎市・豊中市をはじめとする阪神・北摂地区の患者様のお身体の悩みを「根本改善」に導く「根本治療」の鍼灸を提供しております。
世界が初めて経験する「コロナ禍のクリスマス」いかがお過ごしでしょうか、お伺い申し上げます。
前回のブログでは、子どもたちの自立を促す「弁当の日」という取り組みを取り上げたが、今回は、4歳で生母と死別、9歳にして下女奉公に出され、自立を余儀なくされた少女が、過酷で、悲惨な自らの境遇を物ともせず、持ち前の才覚を武器に天職に出会い、紆余曲折の末に大輪の花を咲かせた女傑の自伝『水のように』浪花千栄子(朝日新聞社)を取り上げたい。
浪花千栄子は、1950〜60年代の日本映画全盛期、不朽の名作映画の中で唯一無二の存在感を放つ昭和の名女優。
ちなみに彼女は、現在、放映中のNHK朝ドラ「おちょやん」の主人公・竹井千代のモデルである。
本書は、これを機に約半世紀ぶりに再刊された。
本書で彼女は、『水のように』生きてきた、自らの半生をこう振りかえる。
「私の半生は、人に、かえり見もされないどぶ川のどろ水でございました。
自分から求めたわけではありませんが、私という水の運命は、物心つく前から不幸方向をたどらされておりました。
しかし私は、子供のときから、泥水の中にでも、美しいはすの花を信じていましたし、赤い灯青い灯、と、たくさんの人にうたわれ、大阪の代名詞のように有名な道頓堀の川底が、どんなにきたないかも知っていましたから、不幸などぶ川の泥水の運命に従順でした」
「私という水は、ひそかに自分の歌を口ずさみ、身分不相応なことを願わず、なまけず、自分では大いに勤勉なつもりで、心楽しく流れている。雨も風もあるけれど、それは、昔に比べたら物の数でもない。
花や木を生きかえらせ、鳥獣の生活をうるおし、人かわきをいやし、そしてかわいた地面にくまなくしみ通ってゆく、そんな役目の水になって、神仏から賜った残生を静かにして強く生きて行きたい。
水のように、というのが、私のここ一、二年前からたどりついた心境である」
本書は、幼少期の辛い体験と、女優として歩み始めた頃の平坦ではない道のり、二十年の歳月共に生きた夫に裏切られた絶望など、喜びよりも悲しみに翻弄された人生が率直に語られた、暗色に満ちたものである。
しかし、彼女の芸風さながらの嫋やか(たおやか)で流麗な文章が、それを明色に塗り替える。
約半世紀を経たコロナ禍の今、自分の力、女優としての演技だけを頼りに這い上がり、名優と称賛された浪花千栄子の強か(したたか)で強靭な人生が、朝ドラや本書の再刊を機に、新たに関心を集めている意義は大きい。
彼女と同時代を生き、名エッセイストとしても活躍した女優に高峰秀子、沢村貞子の二人がいるが、本院は、そこに第三の女・浪花千栄子を加えたい。
芸は人なり、文も人なり、という。
朝ドラのみならず、本書を通して存分に、浪花千栄子に触れていただきたい!味わっていただきたい!
世界が初めて経験する「コロナ禍のクリスマス」いかがお過ごしでしょうか、お伺い申し上げます。
前回のブログでは、子どもたちの自立を促す「弁当の日」という取り組みを取り上げたが、今回は、4歳で生母と死別、9歳にして下女奉公に出され、自立を余儀なくされた少女が、過酷で、悲惨な自らの境遇を物ともせず、持ち前の才覚を武器に天職に出会い、紆余曲折の末に大輪の花を咲かせた女傑の自伝『水のように』浪花千栄子(朝日新聞社)を取り上げたい。
浪花千栄子は、1950〜60年代の日本映画全盛期、不朽の名作映画の中で唯一無二の存在感を放つ昭和の名女優。
ちなみに彼女は、現在、放映中のNHK朝ドラ「おちょやん」の主人公・竹井千代のモデルである。
本書は、これを機に約半世紀ぶりに再刊された。
本書で彼女は、『水のように』生きてきた、自らの半生をこう振りかえる。
「私の半生は、人に、かえり見もされないどぶ川のどろ水でございました。
自分から求めたわけではありませんが、私という水の運命は、物心つく前から不幸方向をたどらされておりました。
しかし私は、子供のときから、泥水の中にでも、美しいはすの花を信じていましたし、赤い灯青い灯、と、たくさんの人にうたわれ、大阪の代名詞のように有名な道頓堀の川底が、どんなにきたないかも知っていましたから、不幸などぶ川の泥水の運命に従順でした」
「私という水は、ひそかに自分の歌を口ずさみ、身分不相応なことを願わず、なまけず、自分では大いに勤勉なつもりで、心楽しく流れている。雨も風もあるけれど、それは、昔に比べたら物の数でもない。
花や木を生きかえらせ、鳥獣の生活をうるおし、人かわきをいやし、そしてかわいた地面にくまなくしみ通ってゆく、そんな役目の水になって、神仏から賜った残生を静かにして強く生きて行きたい。
水のように、というのが、私のここ一、二年前からたどりついた心境である」
本書は、幼少期の辛い体験と、女優として歩み始めた頃の平坦ではない道のり、二十年の歳月共に生きた夫に裏切られた絶望など、喜びよりも悲しみに翻弄された人生が率直に語られた、暗色に満ちたものである。
しかし、彼女の芸風さながらの嫋やか(たおやか)で流麗な文章が、それを明色に塗り替える。
約半世紀を経たコロナ禍の今、自分の力、女優としての演技だけを頼りに這い上がり、名優と称賛された浪花千栄子の強か(したたか)で強靭な人生が、朝ドラや本書の再刊を機に、新たに関心を集めている意義は大きい。
彼女と同時代を生き、名エッセイストとしても活躍した女優に高峰秀子、沢村貞子の二人がいるが、本院は、そこに第三の女・浪花千栄子を加えたい。
芸は人なり、文も人なり、という。
朝ドラのみならず、本書を通して存分に、浪花千栄子に触れていただきたい!味わっていただきたい!
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