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2020年08月24日

ええ塩梅(あんばい)

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こんにちは、兵庫県伊丹市の西田鍼灸療院です。伊丹市内を中心に尼崎市・豊中市をはじめとする阪神・北摂地区の患者様のお身体の悩みを「根本改善」に導く「根本治療」の鍼灸を提供しております。

 

2019年6月、当院の地元・伊丹市に長らく在住していた作家・田辺聖子が亡くなった。

 

この度、中公文庫から新装復刊された『大阪弁ちゃらんぽらん』、『大阪弁おもしろ草子』の二冊は、存命中、軽妙洒脱な大阪弁を駆使した数々の文学作品で多くのファンを魅了した田辺聖子が、大阪弁の生理と機能を愛着を込めて語った、この著者ならではの楽しいエッセイ集。

 

当院が臨床の場でよく患者様にかけられる大阪弁は、「あんじょう頼ンまっさ」。

あんじょうは、「味よく」が「味よう」になり「あんじょう」になったもの。

うまく、とか上手に、とか立派に、丁寧に、などの意がある。

 

「あんばいしといて」というのもある。

こう言われると、当方は相手に下駄を預けられて、悪いようにはできなくなり、

「そうでんなぁ、まぁ、ほな、あんばい、しときまっさ」となる。

「あんばい」は「塩梅」で、塩加減や梅酢の調味料を適当に用いるごとく、物事を、ほどよく処理することであり、折合いとか、程度とか、バランスを保つとかの意も含まれる。

だから、体の具合にも用いられる。

「どうも、あんばい悪いなぁ」

という時は、体の調子が本調子ではない、という意になる訳だ。

あんばいにはもう一つ「ええ気持ち、心地の良い」状態を示す意があり、当方も施術中の患者様から

「ええあんばいや、おおきに」と陶酔を帯びた声がけを頂戴する。

 

「あんじょう頼んます、どうぞ宜しィに」

「あんばい、しとくなはれ、お頼み申します」

などと漠然と言う時、何を、どう頼んでいるか、言い手も聞き手もよくわきまえているくせに、言語習慣として、おぼめかして言う。

 

更にそれを進めると物凄いのは、

「ええようにしとくなはれ」である。

これは「どうなりと任しておくから、良いようにはからってくれ」の意。

 

 

以上のような「他郷人に理解不能、使い切れない」独特の言い回し方は、大阪弁の最大の特色であり、このあいまいで、黒白を直截明快に明らかにしない用語法が、複雑な人間関係を調整しようとして、年月をかけて練り上げられたものであることを、田辺聖子も強調する。

 

大阪弁言語圏で業を行う当院にとって、大阪弁というあいまい語を解し、このあいまいムードの呼吸を飲み込むことが施術の成否に大きく関係する。

 

これからも当院は、患者様を「あんばい」のいい状態にするために、「塩梅」に配慮した、「あんばい」のいい施術を行っていきたいと思う。

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