2020年07月09日
スピリチュアル・ペインへの処方箋
ブログ
こんにちは、兵庫県伊丹市の西田鍼灸療院です。伊丹市内を中心に尼崎市・豊中市をはじめとする阪神・北摂地区の患者様のお身体の悩みを「根本改善」に導く「根本治療」の鍼灸を提供しております。
今回は、前回ブログで言及した「スピリチュアル・ペイン」を敷衍するために、「地獄は克服できる」ヘルマン・ヘッセ(草思社文庫)を読み解く。
ヘルマン・ヘッセといえば、言わずと知れたドイツの文豪である。
『車輪の下』、『郷愁』、『デーミアン』などの代表作は当院にとり、十代、いよいよ大人の人生へのとば口に立って、胸をさわさわと戦(そよ)がせながら手に取った「文学」であった。
青春「文学」の巨匠・ヘルマン・ヘッセは、大変な苦労人である。
『地獄は克服できる』とは何とも凄い題名だが、ヘッセの経歴を知ると、それも深く納得できる。
その人生が実は並大抵でない苦難の連続であったことが分かる。
少年の頃は失恋や退学の果てに自殺未遂を起こし、さらに精神病院に入院させられている。
中年となり、作家として身を立ててからも、妻が精神病院に入院し、長男もまた病気に倒れ、それらの心労から自身も精神科医のもとに通院。
離婚した後も新しい妻が肺炎になり、先妻はその兄が自殺したショックでまた精神病が再発、弟もまた精神病院に入院、ヘッセ本人もついに過労から眼病やリウマチに罹り、友人への手紙に首吊り自殺を予告する……。
本書はヘルマン・ヘッセの作品や日記などから、心の苦しみからの脱却について書かれた部分を集めた本 である。
しかし、読めば直ちに心が休まる内容ではない。
率直に言って、難しいところは極めて難しい。
それは、インド哲学や仏教など東洋思想の深奥に触れようとする作家の姿勢による。
一方また易しいところは極めて易しい。
とりわけ「無為」の中で感じる視覚や触覚など五感の働きにまつわることを、誰にでも理解が行き届くように心を尽くして書く。
例えば心と身体を力づけるために、作家は目を活用することを提唱している。
家の壁に当たる光の様々な反射具合をじっと見ているだけで、そこに発見があり、楽しみがあり、救いがあるとヘッセは言う。
平凡な日常生活の持つ千変万化の面白さ!
それを目が引き出すとヘッセは言う。
こういう具体的な官能をきちんと書き留めるのが、普通の道徳家の人生訓と異なるところ!
しかしこんなことを書きつつも、作家は自殺願望に取り憑かれた。
そして晩年に至ってついに心的な安定を得た。
即ち何年もかけ、地獄は克服されたのである!
本書の中でヘッセは、挫折を繰り返し、自殺願望や鬱に苦しめられた自らの経験を通じて苦しみを克服する道を教えてくれる。
当院は、本書を「スピリチュアル・ペイン(詳しくは2020.07.06ブログ参照)」への処方箋として興味深く読んだ。
現在、「スピリチュアル・ペイン」に苦しんでいる全ての方々に強くお勧めしたい一冊である。
今回は、前回ブログで言及した「スピリチュアル・ペイン」を敷衍するために、「地獄は克服できる」ヘルマン・ヘッセ(草思社文庫)を読み解く。
ヘルマン・ヘッセといえば、言わずと知れたドイツの文豪である。
『車輪の下』、『郷愁』、『デーミアン』などの代表作は当院にとり、十代、いよいよ大人の人生へのとば口に立って、胸をさわさわと戦(そよ)がせながら手に取った「文学」であった。
青春「文学」の巨匠・ヘルマン・ヘッセは、大変な苦労人である。
『地獄は克服できる』とは何とも凄い題名だが、ヘッセの経歴を知ると、それも深く納得できる。
その人生が実は並大抵でない苦難の連続であったことが分かる。
少年の頃は失恋や退学の果てに自殺未遂を起こし、さらに精神病院に入院させられている。
中年となり、作家として身を立ててからも、妻が精神病院に入院し、長男もまた病気に倒れ、それらの心労から自身も精神科医のもとに通院。
離婚した後も新しい妻が肺炎になり、先妻はその兄が自殺したショックでまた精神病が再発、弟もまた精神病院に入院、ヘッセ本人もついに過労から眼病やリウマチに罹り、友人への手紙に首吊り自殺を予告する……。
本書はヘルマン・ヘッセの作品や日記などから、心の苦しみからの脱却について書かれた部分を集めた本 である。
しかし、読めば直ちに心が休まる内容ではない。
率直に言って、難しいところは極めて難しい。
それは、インド哲学や仏教など東洋思想の深奥に触れようとする作家の姿勢による。
一方また易しいところは極めて易しい。
とりわけ「無為」の中で感じる視覚や触覚など五感の働きにまつわることを、誰にでも理解が行き届くように心を尽くして書く。
例えば心と身体を力づけるために、作家は目を活用することを提唱している。
家の壁に当たる光の様々な反射具合をじっと見ているだけで、そこに発見があり、楽しみがあり、救いがあるとヘッセは言う。
平凡な日常生活の持つ千変万化の面白さ!
それを目が引き出すとヘッセは言う。
こういう具体的な官能をきちんと書き留めるのが、普通の道徳家の人生訓と異なるところ!
しかしこんなことを書きつつも、作家は自殺願望に取り憑かれた。
そして晩年に至ってついに心的な安定を得た。
即ち何年もかけ、地獄は克服されたのである!
本書の中でヘッセは、挫折を繰り返し、自殺願望や鬱に苦しめられた自らの経験を通じて苦しみを克服する道を教えてくれる。
当院は、本書を「スピリチュアル・ペイン(詳しくは2020.07.06ブログ参照)」への処方箋として興味深く読んだ。
現在、「スピリチュアル・ペイン」に苦しんでいる全ての方々に強くお勧めしたい一冊である。
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