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2020年03月30日

自分の芸質を冷めた目で分析できる男

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こんにちは、兵庫県伊丹市の西田鍼灸療院です。伊丹市内を中心に尼崎市・豊中市をはじめとする阪神・北摂地区の患者様のお身体の悩みを「根本改善」に導く「根本治療」の鍼灸を提供しております。

タレントの志村けんが昨日(3月29日)、新型コロナウイルスによる肺炎で死去した。

23日の陽性判明から僅か6日後の突然の訃報は新型コロナウイルスの恐ろしさを強く印象付けた。

今回は故人を偲び、志村けんの自伝的エッセイ『変なおじさん』(新潮文庫)を再読する。

志村けんが「何者であるか」を、今更問い直す必要はない。

1974年、24歳で人気お笑いグループ「ザ・ドリフターズ」の正式メンバーとしてデビュー以来、長きに渡り人気、実力を兼ね備えたコメディアンとして国民的スターの座に君臨した。

その間、志村けんが生み出し演じたギャグやキャラクターは枚挙に暇ない。

特に子どもたちへの影響は甚大で、「低俗で教育上よろしくない」と物議を醸したこともあった。

不真面目・不謹慎だと批判を浴びた志村けんだが、本書は彼の真面目さ、誠実さを浮き彫りにする。

志村けんは、のべつコントのことを考えている芸人であり続けた。

ほんの小さな笑いを取るだけのためにも、入念な準備を施し、全力で当たった。

そのために台本段階から十分練り込み、アドリブの入る余地すら許さない厳しさを貫き、例えリハーサルでも決して手を抜かない。

それ故に、志村けんの芸はいかにも几帳面で、実に慎重に計算し尽くされていた。

本書の中で面白いのは、志村けんが自分のそうした芸質を極めて自覚的に、冷静に見据えている部分である。

例えば、トーク番組が苦手。
「ここでこれを言えばこう受けるみたいなことを、スタジオでとっさに考えなきゃいけないけど、僕はそういう訓練をしてないから。ちゃんと計算して笑わせるコントは自信あるけど(後略)」

また西田敏行や柄本明を評価して、「すぐれた役者さんにコメディをやられたら、僕らはたまらない」と書く。彼らは「お笑いもお芝居もきっちりできるから」だと、自分と他人の「芸」の違いを客観的な醒めた目で分析してみせる。

こんな風に、自分の芸質を冷めた目で分析できる男・志村けんが70歳で逝った。

デビュー時、舞台の袖から袖まで、必死になって走り抜けるだけの若い長髪の男・志村けんが、歳月を重ね禿頭(とくとう)の爆笑王になったこの先には、まだまだ輝かしい未来が待っていたはずである。

奇しくも昨日(30日)からスタートとした今期のNHK朝の連ドラ「エール」では、主人公の人生に大きな影響を与える重要な役で出演することになっていた。

また本年12月には、初の主演映画「キネマの神様」(山田洋次監督)が公開されることになっていた。

古希を迎えた志村けんの円熟の新境地を、是非見てみたかった。

それが叶わなくなった今言えることは、この死を絶対に無駄にしてはいけないということ!

彼の死に報いるには、新型コロナ問題の早期解決に向け、我々一人一人が手を携えて一生懸命生き抜くことしかあるまい。

長年のファンの一人として、心よりご冥福をお祈りし申し上げる。合掌🙏





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